2017年8月15日火曜日

各分野の生い立ちがわかる学問の歴史の本 ー世界史、日本史編ー

本記事で紹介する本


学問の歴史をシリーズで紹介しておりますが、今回は、時代について知るための世界史、日本史の本です。




この動画は、早稲田大学政治経済学部 模擬講義「国際政治の歴史を学ぶ ~複雑な世界を読み解くために~」です。講師の田中孝彦先生のご専門は冷戦史です。この動画によれば、なぜ歴史を学ばなければいけないのか?について、以下のように述べられています。

・過去の失敗を繰り返さないため原因を追究
・現在を知るために過去からの軌跡を知る
・現在の条件を知り未来を考える

研究、ビジネス、政策、教育、と何を考えるにしても、歴史認識は欠かせないかと思います。また、あらゆる分野の偉人たちが、どういう時代を生きてきたか?は、偉人の成果を測るうえで、非常に重要ではないかと思います。そういうわけで、本日は、世界史(上下)、日本史、日本戦後史の本2冊と、本日は終戦の日ということで戦争の本、の計6冊をご紹介したいと思います。また、学問の歴史シリーズとしての文脈からは少し脱線しますが、日本史についても重みをおいて紹介します。これは、日本を正しく認識することで、世界各国を客観的に深く見ることが出来ると考えられるからです。

    目次
    ・世界史 上、下 ウィリアム・H. マクニール
    ・概論日本歴史 佐々木 潤之介
    ・やりなおす戦後史 本当はよくわかっていない人の2時間で読む教養入門 蔭山 克秀
    ・ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉 吉見 俊哉
    ・ひとはなぜ戦争をするのか アルバート アインシュタイン,ジグムント フロイト

世界史 上、下 ウィリアム・H. マクニール



前提知識:なし
キーワード:世界史

大学の生協でも常に売り上げランキングの上位に入り、東大では1位にもなったことがある本です。著者のマクニール先生は主著「西洋の台頭(The Rise of the West)」などの著作をもつ歴史学者です。マクニール先生は、ある一つの文明を深く調べるより、各文明がどのように影響を及ぼしあったか?に主眼をおいて歴史をみた研究者です。この本にも、その姿勢はあらわれていて、世界全体の歴史を網羅した本となっています。とくに、第2次世界大戦以降の戦後史は、今の国際情勢を知るうえで必要不可欠な知識に思えます。

概論日本歴史 佐々木 潤之介


前提知識:中学レベルの日本史
キーワード:日本史

編者の佐々木先生は、一橋大学の名誉教授にもなられた方です、本の「はじめに」にも書いてありますが、高校で日本史を勉強していない人にもわかる基礎的な話を中心にしながら、最新の研究成果もとりいれた、ストーリーを重視した内容です。おそらく学部生の日本史として使用する本として作られたものですが、大人が読んでも歴史を再学習できる本となっています。

やりなおす戦後史―――本当はよくわかっていない人の2時間で読む教養入門 蔭山 克秀


前提知識:戦後史、現在の政治の知識
キーワード:戦後史、現代政治

哲学の入門書の際でも紹介した、代ゼミ講師の蔭山先生の本です。こちらの本は大人向けにもかかれてるので、砕けた文章ではありませんが、流石の塾講師で、明瞭簡潔に説明されています。オイルショック、バブル経済など終戦からの日本の戦後史を一望できる本です。憲法改正、原発、領土問題など現在の政治情勢を知るうえで戦後史は大変重要であるので、日本史を補う形でこの本もご紹介しました。一般論として、歴史認識の本では、かならず著者の思想が入ることは避けられないため、事実を追った後に気になるところは精査するのが良いかと思います。

ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉 吉見 俊哉


前提知識:戦後史のキーワード
キーワード:戦争史

「大学とは何か?」で紹介した、吉見先生の本です。「ポスト戦後社会」とは、いわゆる高度経済成長の終わり頃である1970年~の時代のことです。本書では、特に、1990年頃からグローバリゼーションを「ポスト戦後社会」とみて、そこを中心に日本社会について考察した本です。あさま山荘事件などの犯罪事件、家族体系の変化、地域開発など、基本的な政治のみではなく、社会としての日本を見つめることが出来る一冊となっています。新書で一般向けに書かれた本なので、比較的短時間で読めるかと思います。

ひとはなぜ戦争をするのか アルバート アインシュタイン,ジグムント フロイト


前提知識:第1、2次世界大戦の情勢
キーワード:戦争、心理学、戦争史

1932年に国際連盟からアインシュタインに以下の提案がありました。「今の文明でもっとも大事だと思われる事柄をとりあげ、一番意見を交換したい相手と書簡を交わしてください。」。そして、アインシュタインが選んだ問いは「ヒトはなぜ戦争をするのか?」、そして、その相手は、精神分析の提唱者であるフロイトでした。この本について私が下手に紹介をするよりは、原文を読んでいただいた方が良いかと思われます。アインシュタインの問い、そしてそれに対するフロイトの回答。理路整然と進められるやりとりをご一読いただければと思います。なお、1932年は、ナチス台頭の直前であり、ユダヤ人である二人はそれぞれ、アインシュタインはアメリカ、フロイトはイギリス、に亡命することになりました。
本記事で紹介した本


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