2017年7月29日土曜日

大学に入学する前に読みたい「大学とは何か?」「大学教育について」

本記事で紹介する本
 

今回は、大学組織と大学教育に関する本を紹介したいと思います。

近年は大学の数が増えてきており、

平成28年度の文部科学統計要覧(リンクの「大学」を参照)

によると、779校もあり、1955年の228校に比べると、3倍以上に増えています。少子化が今後どのくらい影響を及ぼすかは注目するところです。 今回は、ここまで増えてきた大学組織と大学教育について考えるための本を紹介します。

もし記事の読者が学生であれば、毎日通っている大学という組織の社会における役割は何か、また、そこで学ぶ大学教育とは何か?を知ることは、大切なのではないかと思います。紹介する本は、これらを考える上で参考になるのではないかと思います。
    目次
    ・大学とは何か 吉見俊哉
    ・大学教育について ジョン・スチュアート・ミル

大学とは何か 吉見俊哉


前提知識:なし
キーワード:大学、世界の大学史、日本の大学史

著者の吉見先生は、東大で都市文化やメディア文化について研究されている方です。メディアとしての大学という視点から、大学についてを考察しています。一方で、大学の歴史についても、12世紀のボローニャでの大学設立から現在の大学組織に至るまで、について詳しく書かれています。例えば、ゼミナール制が、18世紀にドイツの言語学者フンボルトによって提唱されたこと、大学院制度が、19世紀にアメリカのジョンホプキンス大学で設立されたことなど、今の大学というシステムがどのような背景で生まれてきたかが分かる一冊となっています。また、森有礼や福沢諭吉や大隈重信によって、帝国大学や慶應大学や早稲田大学がどのように生まれたか、また、戦後にどのように今の大学が生まれてきたか、の日本の大学の歴史についても詳しく書かれています。学生含めて大学に関わる人は手に取りたい一冊です。

大学教育について ジョン・スチュアート・ミル


前提知識:なし
キーワード:大学教育、一般教養科目、自然科学、人文社会科学

「自由論」、「経済学原理」、「功利主義論」、「女性の解放」など、政治学、経済学に多大な影響を与えたジョン・スチュアート・ミルのセント・アンドルーズ大学名誉学長就任講演(1876年)を文字に起こしたものです。教育について、大学教育についての演説の内容が書かれています。特に、大学の一般教養科目の各科目について、なぜその科目を学ばなければいけないのか?が書いてあるので、これから大学で勉強をする人は特に手に取って欲しい本となっています。当時の科目なので宗教学などについての解説もあり現代には当てはまらない部分もありますが(それはそれで当時の情勢が知れて面白いですが)、数学、物理学、文学、芸術学など、直接的な学ぶ意味が見い出しにくい学問についても、その意味が詳しく書かれています。講演を文字に起こしたものなので、それほどボリュームもなくすぐに読める本です。ミルの人物像についても、解説で書かれています。
本記事で紹介した本


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