2017年7月28日金曜日

学問を始めるまえに読んでおきたい、日本人必読の「学問のすすめ」

本記事で紹介する本
 

今回は、「学問のすすめ」について紹介します。

前回は、読書についての本を紹介しました。 本を紹介するサイトですが、基本的には学術本を中心に紹介すること、独学のための本を紹介すること、を踏まえて、今回はなぜ学問をしなければいけないのか?に関する本を紹介したいと思います。つまり、学問をすすめるということです。そうです。「学問のすすめ」です。

学問のすすめ現代語訳 福澤 諭吉


前提知識:ほぼなし(小学校レベルの幕末~明治の歴史)

キーワード:学問、文明、民主主義、品格

皆さんご存知の、一万円札の人物にもなっており、慶應義塾大学の創設者でもある、福澤諭吉先生の著書です。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへり」

から始まりながら、直後に、

「されども今廣く此人間世界を見渡すにかしこき人ありおろかなる人あり貧しきもあり冨めるもあり貴人もあり下人もありて其有様雲と坭との相違あるに似たるは何ぞや」

とあります。「天は人の上に人は造らず、人の下に人は造らず」、つまり、人というものは平等であるにもかかわらず、実際には「賢い人愚かな人、貧しい人金持ちの人、社会的身分の高い人低い人、と雲泥の差となる違いがあるが、その理由は何か?」と問うています。そして、福澤先生は、その答えこそ、

「その本を尋ぬればただその人に学問の力あるとなきとによりてその相違もできたるのみ」

つまり、「学問を修める力があるかないかでその差ができる」と言っています。幕末の文明開化が進む中で、日本の国力を上げるためには、国民が学ぶ姿勢を持って一人一人が自分で考えることが大切だ、という強い思い(啓蒙思想と言います)があり、福沢先生は筆を執ったのだと思います。また、福沢先生は、勉強することが目的の勉強ではなく、普通の生活で役に立つ実学、こそ重要であると説いています。

具体的な内容としては、国民と国家の関係や、欧米文化を取り入れる際の心構え、人の世話の仕方、などに関して、簡潔で明快に記載されています。例えば、欧米文化を取り入れる際に、「欧米でやってることだから良い、よし、取りいれよう」ではなく、「なぜそれを取り入れることは良いのか?」、ということを考えるべきだと言っています。昨今でも、アメリカの一流大学ではこうしているから日本でもこうするべきだ、というニュース記事などをよく耳にしますが、本当にそうなのか?日本の国民性、文化背景、経済状況、大学制度、に適しているのか?を常に考えながら取り入れていくことが大切だと思いますし、このような、現代の実生活にも当てはまる学びがたくさんあります。

当時の自己啓発書として300万部近く売れたともいわれています。学生、会社員を問わず、日本人であれば一読すべき名著だと思います。 なお、本当は原文を読んだ方がいいのかもしれませんが、時間効率のことを考えたら、現代語訳でもよいのではないかと思います。

福澤先生もおっしゃっていますが、やはり実学こそ重要なのだと思います。理系科目でいうならば、それはただ単純に数学や物理が無意味で工学さえやっていればいい、という意味ではなくて、どんな科目でも、勉強のために勉強するのではなく、なぜ勉強しなければならないのか?、今勉強していることが実生活にどのように生かされるのか?を意識しながら勉強することが大切なのだ、と解釈できるのではないかと思います。昨今は、大学で学んだことなんて会社では一つも役に立たない、という意見が散見されますが、大学での学問が直接的ではなくても間接的にどう役に立っているか?を考えるうえで、「学問のすすめ」はヒントを与えてくれる一冊ではないかと思います。
本記事で紹介した本


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