2017年7月31日月曜日

教育について考えるための「教育学」の本4冊

本記事で紹介する本


さて、前回は大学に関する本をご紹介したので、今回は教育学に関する本です。

各科目に入る前(教育学も一科目ですが、教育の専門家以外はあまり読まないという意味で)に、教育学の本を読む理由には、以下の2つがあげらえれます。

・大学入学までの教育制度を知ることで、自分が受けてきた教育を振り返る
・教える側の論理を知ることで、何を学べば良いかが分かる


教える側は、数多くの知識の中から教える知識を選び、またどういう教え方が一番伝わるかを考えます。ゆえに、これを知ることで、何を学べばよいかが分かるというわけです。また、将来的に、先輩となり、上司となり、親となるうえで、教育学は非常に参考になる学問ではないかと思います。

そういうわけで、今回は、教育学の本を2冊、現場でご活躍された先生の本を1冊、数学教育の本1冊、の計4冊を紹介したいと思います。理系の本紹介サイトなので、数学に重点を置いてありますが、数学以外にも共通する部分はあると思います。
    目次
    ・教育入門 堀尾輝久
    ・教育とは何か 大田堯
    ・新・学力への挑戦 仲本正夫
    ・数学の学び方・教え方 遠山啓

教育入門 堀尾輝久


前提知識:なし
キーワード:教育、教育の歴史、青年教育、受験戦争

著者の堀尾先生は、東大の名誉教授でもある方で、専門は教育思想史などです。教職課程の参考書としても使われる本らしいです。技術・文化の伝達としての教育の起源から始まる世界の教育の歴史を解説し、また、近代の受験システムなどの日本の教育の歴史も書いてあります。また、子供の教育、青年期の教育について、事例とともに詳しく記載されています。

教育とは何か 大田堯


前提知識:なし
キーワード:教育、文化人類学、文化、人権

こちらも東大名誉教授の太田先生の著作です。太田先生のご専門は、教育史、教育哲学などです。四万十川の屋台船での田舎の風景の描写から始まり読者を引き込む太田先生の文才もさることながら、他の動物と比較した人間の教育、文化の伝承としての教育、教育と人権といった、独特の視点からみた教育について、解説されています。

新・学力への挑戦 仲本正夫


前提知識:なし
キーワード:教育現場、数学教育、学力

堀尾先生の本での事例として紹介されていた、仲本正夫先生の著書。鹿島建設就職後に、市立山村女子高校(埼玉県)で教師をされていた方です。当時の山村女子高校は、いわゆる進学校ではなく勉強がそこまで得意ではない高校生の学校でした。そこで、本当にいちから分かりやすく数学を教えることで、一個も理解ができなくて数学嫌いだった生徒たちが、数学を大好きになり、数学を通して自立していく様を、実体験を通して描いた本です。仲本教育は教育学会でもロールモデルとしてよく取り上げられているらしいです。ドラえもんの漫画を題材にしたりしてひきつける一方で、原発問題などの現実問題を通して確率を教えるなど、本当に工夫に富んだ授業の数々です。

数学の学び方・教え方 遠山啓


前提知識:初等数学
キーワード:数学教育

遠山先生は数学教育業界で著名な方です。上記の仲本先生の著作でも、遠山先生の本は紹介されています。タイトル通りですが、数学の学び方と教え方について書かれた本です。数字が何を意味しているかを正しく定義するために、「量」や「数」といった基本概念について、分類して詳しく定義して解説しています。ちなみに wikipedia で「量」でもこれだけの解説があったりします。小学生の子供にここまで教えてちゃんと理解できるかは不明ですが、少なくとも、教師をやる側は知っておいた方がいいような言葉の定義が懇切丁寧になされています。昨今は、掛け算の順番とかが問題になったりしていますが、原点に立ち返るときには参照するべき本ではないかと思います。
本記事で紹介した本


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