2017年9月21日木曜日

数学を始めるときに読みたい「数学30講シリーズ」

本記事で紹介する本


前回で学問の歴史シリーズは終了します。今回からは、実際に独学するにあたっての参考書を紹介します。 やはり、初めは、理工系の基礎科目である数学の参考書を数回のシリーズにわたって紹介します。

単位をとることが目的とされるような平易に書かれた教科書は、他サイトでもたくさん紹介されているので、こちらでは 主に、数学科の学生が独学に使えるような水準の参考書を紹介します。一方で、私自身も数学科の出身でもなく専門でもないので、 本の半分以上が証明に費やされるような本格的な厳密な本というよりは、数学の各分野の学問の概観をつかめる本を中心に紹介します。

さて、そこで今回は、私が何冊か読んだ中で、おそらくこのシリーズを最初に読めばよいのではないか?と考えられる「数学30講シリーズ」 を取り上げたいと思います。

数学30講シリーズ 志賀 浩二


前提知識:高校数学
キーワード:微分積分、線形代数、集合、位相、解析、複素数、ベクトル解析、群論、ルベーグ積分、固有値問題

著者の志賀先生は、東工大の名誉教授の方で、ご専門は微分位相幾何学(いわゆる微分トポロジー)です。「数学30講シリーズ」は、10冊あり、数学科の学部1,2年で習うような科目(キーワード参照)を網羅しています。私が「数学30講シリーズ」をお勧めする理由は、「刊行のことば」に書かれています。
数学の本というと, ごくやさしい解説書か, スタイルのほぼ決まってしまった教科書の類しかないという現状に, 私は前からあきたりない思いがしていた. 私の中にいつしか育てられてきた数学の世界は, 解説書で述べられているよりもっとしっかりとした, 明るい形をとっているし, また, 教科書の中で示されているような, 乾ききった生硬な姿も示していないようである. 一つ一つの事柄は, 明確に述べられていながら, しかも柔らかいスタイルで表わされているような数学書はないものであろうかということは, かなり前から, 私が時折り模索していたものであった.この数学30講シリーズは, それに対する私の一つの解答である.

つまり、やさしい解説書は簡単だが厳密性にかけて数学の本質が分からないし、数学科の学生用の本は厳密性を重視したため直観性にかける、ということです。これら両方の欠点を克服し、「数学30講シリーズ」は、数学の厳密性を保った世界観を、直観性を重視して平易に書くことを達成した参考書です。集合、位相、群論、ルベーグ積分、多様体など、私も学生時代はほとんど理解できませんでしたが、この本を読むことで、これらの分野の概要を説明できるレベルに理解することが出来ました。εδ論法、群環体、ルベーグ積分、多様体など、聞いただけではなんのことかさっぱり分からない数学の各分野の内容を、この本を読むことで理解することが出来ます。

アマゾンへのリンクはスペースもかさばるので、「1-微分・積分30講」のみとしましたが、以下10冊のタイトルを記載しますので、別途、ご確認ください。

・1-微分・積分30講
・2-線形代数30講
・3-集合への30講
・4-位相への30講
・5-解析入門30講
・6-複素数30講
・7-ベクトル解析30講
・8-群論への30講
・9-ルベーグ積分30講
・10-固有値問題30講

本記事で紹介した本



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